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    ユダヤ教とイスラム教の敵対構造の解説

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    ユダヤ教とイスラム教の敵対構造の解説~その4~




    2023年10月28日

    その4「アブラハムの家庭に起きた悲哀と恩讐の三角関係」

    アブラハムの家庭に起きた事柄は、地球論的証明に基づく法則と宇宙論的証明に基づく法則を凝縮して見事に顕現しています。
    では、どのようにそれぞれの法則が展開されたのか、霊的な心情世界と肉的な実体世界において分析してみましょう。

    まず、エジプトに寄留する時に、地球論的証明に基づいて、命乞いのために妻の貞操までも譲渡しようとした、アブラハムの男性型支配構造の女性に対する身勝手なエゴイズムの低堕落です。宇宙論的証明に基づいて、自らの貞操と夫に対する愛する忠誠心を、命をかけて疫病にまで侵されて守り抜くことを自己決定して、自己責任を負ったサライの愛の献身的な心情世界です。

    そのことによって、パロから多くの貢物と召使を得て一族を守ったことと、異邦人の下女に夫を与えてまで、アブラハムの血統に対して責任を負うことを自己決定して、自己責任自己完結したことで、自らの胎を開いて霊界から子供を授かったことです。

    しかし、地球論的証明に基づいてしてはいけない大きな過ちをサラは犯しました。
    恩讐のハガルとイシマエルを愛で超越したことによって、実子であるイサクを霊界から迎え入れることが出来たのですから、実子のイサクを愛する以上に、庶子のイシマエルを愛して、ハガルに従順に侍って仕えていく謙虚な愛の心情を持ち続けなければいけませんでした。

    しかし、サラは自らの邪心に負けて、アブラハムの決裁を仰いで、ハガルとイシマエルを恩讐の心情のままに、荒野に追放して合法的に葬り去ろうとしたことが天の逆鱗に触れました。

    それが、実子を燔祭につけなくてはならないイサク献祭です。
    すなわち、宇宙の法則であるジェラシーの排他理論は、「恩讐を排斥することによって、自らの最も愛するモノを犠牲にする」ということです。

    しかし、イサク献祭はアブラハムの信仰によって回避されました。
    我が子でも、神が願うのであれば祭物として捧げる、アブラハムの神に対する信仰心が、未だに、ユダヤ教にもイスラム教にも美化されて賞賛され、「信仰の父」として尊敬され崇拝されている共通の理由です。

    しかし、この象徴的な美化された信仰心が、聖戦と言われるジハードなどにおける自爆テロの温床にもなっています。

    しかし、想像してみてください。
    アブラハムとサラのどちらが実子イサクに対して執着していたでしょうか。

    年老いたサラがイサクを授かるまでの経緯をみたならば、すべての恩讐と苦難を愛で超越して、我が身を引き裂く思いで、血の汗と涙を振り絞って、やっとの想いで霊界から授かった、尊い我が子を神から燔祭に捧げろといわれて、「ハイ、左様ですか」と簡単に受容することが出来るでしょうか。

    おそらく、サラの方がアブラハムよりも、遥かにイサクに対して執着していたことでしょう。

    サラは霊的に賢い女性でしたから、ハガルとイシマエルを追放したことが、宇宙の法則に抵触したことを、自ら直感的に悟ったに違いありません。
    サラは自らの愚かさを心根から悔い改めて、謙虚に、真摯にすべてを無条件で、全面的に受容することを自己決定して、すべての悲哀と恩讐を超越して自己完結したに違いありません。

    すなわち、霊性進化の方程式に基づいて、サラが自らの邪心を本心で克服して、霊的な愛の心情の勝利を成したから、アブラハムが実体的な信仰の勝利者となった訳です。ですから、アブラハムの信仰の勝利は、サラの超越的な愛の勝利がなければ完結しませんでした。

    男性の実体的な成功における自己実現背後に、女性の心情的な愛の勝利自己完結があるからです。
    すなわち、すべての運勢の鍵は女性が握っているということになります。

    しかし、ハガルとイシマエルはアブラハムとサラに対して強烈な悲哀と恩讐を心の奥に焼き付けて、アブラハムの家族に向けて憎悪と怨念を、歴史を通して子々孫々に受け継がせていきました。

    ユダヤ教とイスラム教の敵対構造の解説

    結論です。アブラハムの家族における、本妻のサラと、妾のハガルとの確執と恩讐、実子のイサクと庶子のイシマエルとの確執と恩讐が歴史を通して連綿と、女性達の心情と遺伝子によって受け継がれていったのです。

    この異母兄弟の血統であるイサク人が、ユダヤ教徒から救世主と言われるイエスを世に生み出し、キリスト教徒として、世界的に版図を拡大していきました。エジプト民族の血を受け継ぐイシマエル人が血統を通して、預言者であるムハンマドを世に生み出し、イスラム教徒として、歴史を通して恩讐と共に、世界一の信者を数える宗教へと版図を拡大していきました。

    サラによって荒野に追放された、イシマエル人の子孫であるアラブ民族が中東に残り、ハガルとイシマエルを荒野に追放した、イサク人の子孫であるユダヤ民族が国を失い、世界の流浪の民となりました。

    第二次世界大戦が終結して、ベングリオン(イスラエル建国の父といわれる)を中心としたシオニズム運動によって、1948年、イスラエルが建国されるまで、国のない流浪の民族として、ユダヤ民族はヨーロッパを中心に世界中に散り散りになっていました。

    しかし、四千年の時を越えても、未だに恩讐は解消されぬまま、闘争と殺戮の歴史を繰り返しています。

    ***

    次回はこの「三角関係の法則」についてお話します。
    その5「本妻と妾、実子と庶子の悲哀と恩讐の法則」

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    その1 「旧約聖書はアダム家庭から綴られた家系図」

    その2「なぜにユダヤ教とイスラム教は争うのか」

    その3「「アブラハムの家庭が悲哀と恩讐の火種を点した」